寺島会計事務所|三島市、沼津市、裾野市、長泉町、清水町、御殿場市、横浜・東京地区での公認会計士・税理士業務や経営戦略策定支援をいたします。

寺島会計事務所の電話番号

この季節になると静電気が気になりますね。以前我が家では日本製の掃除機を使用していましたが、故障してしまったため、昨年イギリスのダイソン社の掃除機に買い換えました。

日本製の掃除機を使っているときは、冬になると髪の毛が静電気で床に張り付いてしまい、掃除機を何度あてても吸い込んでくれずにイライラしたり、小さいチリの吸い込みがイマイチですっきりしないことがあったようですが、ダイソン社の製品を1年以上使ってみて、そのようなストレスが全くなく、大好評です。

 

掃除機市場も他の家電製品同様、激しい価格競争にさらされていますが、日本製の中心価格帯4万円前後の中、ダイソン製はほとんど値崩れせず、7~8万円の価格帯を売りまくっています。

紙パックを利用しないサイクロン技術という革命を起こし、独自のデザインと高性能で世界中の消費者の心をわしづかみにしているダイソン社。創業者のジェームズダイソン氏が、すぐに吸引力が落ちてしまう紙パック式の掃除機への疑問をきっかけに、5年の歳月をかけて開発。それまでの失敗試作品の数はなんと5127台というから驚きです!

 

革命を起こし成功したダイソン氏は、様々な場面で起業家や開発者へのアドバイスを求められるそうですが、このように言うそうです。「世界を変えたいなら、アドバイスは聞くな」と。自分の信じる道、想いを愚直に行動に写し、粘り強く取り組むんだと。それにしても、一人で自宅の倉庫で研究開発を続けたダイソン氏を支え、見守った奥様の方がある意味すごいかもしれませんね。

いよいよ忘年会シーズン突入です。皆様はお好みのビール銘柄はありますでしょうか?

今流行のサントリーの『プレモル』。・・・突き抜けたビールを創ろうというプロジェクトの下、見事にビール事業45年赤字からの脱却に貢献したそうです。テーマは、『集団から個』、『のどごしから味・香』。それまで集団での宴会、のどごしを重視してきたビールという文化を香りに着目して一変させました。

 

45年も赤字を続けていたのなら、普通は事業撤退となりそうなものですが、サントリーの「やってみなはれ」経営で逆転を成し遂げました。意義のあるチャレンジを善とするこの理念は、経営から教育、様々なシーンでとても参考になります。

思い返してみると、サントリーといえば、ウーロン茶、発泡酒、ハイボール、ストロングゼロ、そして今ではオランジーナと、多くのヒットを生み出しています。

 

ここで間違ってはいけない重要なことは、「やってみなはれ」とはいっても、ボトムからの提案が前提で、あくまでトップのレスポンスの言葉であるということ。そしてもう一つは、「挑戦したら、やり抜け!」という執念を伴う言葉であるということです。やさしいようで実は厳しい言葉なんですね。

 

失敗を恐れず執念を持ってチャレンジする。そしてそれを評価する。そんな企業風土を培うことができたら強いと思います。

今年のお正月の箱根駅伝。33年間箱根駅伝から遠ざかっていた青山学院大学が総合優勝したことには大変驚かされました。

率いたのは原監督。就任前には10年ほど中国電力の営業マンをしていたという異色の監督です。弱小チームを総合優勝させるまでのプロセスは、ビジネス手法を多分に取り入れたものでした。

 

10ヵ年計画を策定しPDCAサイクルを回すといったことから始まり、適材適所の組織作り等々。中でも目を引くのが、『チームと個人の「自立」を促す指導法』です。発想力豊かな若手に「どうすれば速く走れるようになるか」を自ら考えさせ、実践させる。能動的にやらせた方が監督の力量を超えるアイディアが出てくる。監督は、そのトレーニングをいつやるべきなのか、今なのか、半年後なのか、5年後なのかを判断するだけだそうです。

また、「目標管理シート」を導入し、チームとしての年間目標、個人としての月間目標と、それを実現するための具体案がびっしりと書き込まれています。

 

原監督曰く、「私は安定したサラリーマン生活を捨て去り、“覚悟”を決めて青学陸上部の監督になりました。そうした覚悟をもって是非会社経営にあたってもらいたいものです。それと、会社のリーダーであるからには自分の心構え、理念を従業員に対して積極的に発信していくことが大事です」

 

1ヶ月後に迫った箱根駅伝。今年も青学旋風に期待します。

靴下専門店の『靴下屋』さんをご存知でしょうか?

「タビオ」という会社が展開している靴下の全国チェーンで、創業者の越智氏が一代で築き上げたブランドです。『靴下屋』の靴下がとても履き心地がいいと噂を聞き、私も東京に行った時に池袋店で購入してみました。確かにとても履きやすく、ズレ落ちてこないのでとても気に入ってしまい、軽井沢のアウトレットで『靴下屋』を見つけた時にもまとめ買いしてしまいました。

 

越智氏が一貫して掲げている経営哲学は、孫子の「不戦の戦略」。常に、戦わずして勝つにはどうすればいいかを考え抜き、実践しています。私も先輩からの教えで「孫子の兵法」、「三国志」などの中国古典を読みましたが、なかなか徹底して経営の実践に生かすのは難しいと感じています。しかし越智氏は徹底して「不戦の戦略」を貫いているのですごいと思います。

 

「創業以来、僕はずっと戦わんかった。価格で争ったことも、デザインで競ったこともない。競争相手が自分の味方になるようにしないといけません。僕は今まで一度も靴下業界の人たちを敵やと思ったことがないんです」と、さらっと言ってのける越智氏。経営理念は「およそ商品は造って喜び、売って喜び、買って喜ぶようにすべし。造って喜び、売って喜び、買って喜ばざるは、道に叶わず」。とことんこだわっていいものを精魂込めて作れば、みんなが喜んでくれて、自分も嬉しくなる。他社と競争すれば自分も相手も疲弊しますが、いいものを作れば業界の発展につながり、他社も喜ぶはず。

 

この越智氏、あそこにいい靴下があると聞けば、どこへでも飛んでいき、全神経を集中し、五感をフル稼働させて靴下を感じるのだとか。店員さんの目を盗んではそっと靴下を噛んだり、頬に当てたりして微妙な感触を確かめたり・・・・・。

「もちろん独りよがりではいけませんが、お客様が求めるものは何かと全力で考え、脇目も振らず一途にいいものを作る。それを良心的な価格で売れば、必ず買っていただけるはずです」。

 

モノがあふれ商品自体の差別化が難しい現代にも、こんな素晴らしい経営者がいるのですね。

サッカー日本代表の本田圭祐選手は経営者としての顔も持っています。

小学生向けのスクールからトップチームまでの実質的なオーナーであり、特にオーストリア3部のSVホルンというクラブチームの経営には多くの時間を割いています。また、来月幕張に自社グラウンドを開設し、サッカーだけでなくテニスやゴルフをも楽しめるようにするのだとか。

業態を広げるオーナー本田氏の経営は、単なるお金持ちのお遊び経営ではありません。

経営をしていく上で、哲学・フィロソフィーを最も重要視しており、以下のような発言をしています。

 

「企業理念としては、世界で最も競技人口が多いサッカーを通じて人々に夢や希望を与えたい」

「合わせて、サッカーだけでなく他のスポーツでも地域への貢献につなげたい」

「企業に理念がないと単なる動物園になっちゃいますんで、会社が歩んでいく方向をしっかり社員全員に伝えることこそトップの役目なんです」

「言うのは簡単だけど、自分のやりたいことを現場に落とし込むのは簡単ではない。継続して発信しないと」

 

とても現役サッカー選手の言葉とは思えないですね。

SVホルンのオーナーになったのも、日本人だけでなくアジアの選手の欧州挑戦の機会を増やしたいとの思いがあると言います。

理念を掲げて行動に移し、そして思いを継続的に現場に発信していく。これこそ経営トップとしての使命であると思います。

先日、富岡製糸場の記事を書きましたが、もう一つ、ご紹介したい製糸出身の会社があります。

下着メーカーの「グンゼ」。約120年前に京都で創業し、富岡製糸場と同じく繭から生糸を作る製糸業で隆盛を極めました。当初の社名は「郡是」。「国是」や「社是」などの言葉と同じで、郡の地場産業を強くするという意味を込めて社名が定められました。

 

「グンゼ=下着」というイメージがあると思いますが、売上に占める下着の割合は50%にすぎません。残りの50%はというと、

・もやしなどの野菜の包装袋(水滴がつかない特殊加工)

・タブレットの表面フィルム(透明電極加工)

・医療縫合補強材(繊維で培った技術を生かした、体内に吸収される手術時縫合補強材)

・医療再生血管(繊維の加工技術を生かしたメッシュ構造で、本物の血管を作り出す)

・ペットボトルに巻いてあるフィルム(フィルムを収縮させてどんな形状にもフィット)

・カニのパッキング(同上)

などなど。

 

創業者の波多野鶴吉氏の代から、「既存事業に安住している暇はない」との方針のもと、常に新しい事業展開を模索しているのです。実際に、1900年代初頭に化学繊維のレーヨンが爆発的に普及し、生糸の相場が急落したピンチの時にも会社は持ちこたえ、今に至るまで大きく成長しています。

 

中小企業では、グンゼのように新たな事業分野に次々とチャレンジしていくのは難しいですが、参考にすべきは、『グンゼの新規事業に共通している重要な点は、既存事業を「深堀り」しているということ。決して全く関係のない分野に飛び込んで行っているのではないということ』です。

中小企業にとっても、業績がいい時ほど危機感を持ち、常に「革新」の考えを持って経営をしていく大切さについて、非常に学ぶところの多い企業だと思います。

トップの強烈なリーダーシップと、個々の高い自主性。

日本、そして世界をも驚かせたラグビー日本代表の大躍進は、この2つの要素が見事に噛み合って生まれました。そして、我々ビジネスマンにも非常に多くの教訓を残してくれました。

 

エディージョンソンヘッドコーチ。4年前に代表コーチとなった際に、当時15位ほどであった世界ランクを「次回のワールドカップまでにトップ10以内にする」と目標を掲げました。この目標は、現実と環境を踏まえた「実現可能な最大限の目標」としてチームに見事にフィットしました。そして、今回のワールドカップでは、「南アフリカを倒す!」というピンポイントの目標を掲げました。選手たちは当初、「本当にそんな成果が出せるのだろうか?!」と半信半疑だったようですが、トップが繰り返し繰り返し選手たちにそう言い続けることで、選手たちも「もしかして出来るのではないか」という気持ちに変わっていき、そして個々の選手の一つ一つの行動も変わっていきました。トップのぶれない理念、思いが選手たちに浸透していったのです。

 

そうしたことで、今まで厳しい練習や自己管理についても受け身であった選手たちの行動が、見違えるほど変わっていったようです。スケジューリングから練習メニューなど、言われたことだけではなく、コーチからの指示に自らの考えもブレンドし、自らのコントロールできるエリアは積極的にコーチ陣と議論し、改善していったのです。南アフリカ戦の終盤、選手たちの意思でキックでなくスクラムを選択したスーパープレーに顕れていますね。

 

トップのぶれない理念が部下に浸透し、自然と部下が自主性を持ってトップについていくという、まさに理想の組織。企業経営にそのまま当てはめることができます。

日本代表には外国人がたくさん入っていましたが、全員でいつも「君が代」を練習し、歌の意味までしっかりと共有していたそうです。ラグビー日本代表、4年後にどこまで進化しているか楽しみですね。

富岡製糸場を見学に行ってきました。

IMG_0823

 

昨年の6月に世界遺産登録されてから1年半近くが経っているので、そろそろ現地も落ち着いている頃かと思いきや、多くの見物客で大変な混雑ぶりでした。

明治初期に建てられた赤レンガのいくつもの建造物がとても象徴的で、操業停止後も今日までほとんど当初のまま保存管理されていることに驚きました。

 

外観だけでなく室内も、操糸器を数十メートルも横に並べて作業できるよう中央に柱のない大空間をとることができる「トラス構造」や、細かい糸を紡ぐ作業を助ける採光のための多くのガラス窓など、多くの工夫がなされていました。

こちらは操糸器です。

IMG_0817

 

当初は官営工場でしたが、経営の面からみても、以下のようなポイントがあります。

・養蚕業が盛んである、良質な水資源がある、石炭産地であるといった好立地を選択したこと

・フランス人のブリュナ氏を招聘し、圧倒的なリーダーシップで大量生産化のしくみ構築、生産管理、品質管理を行っていったこと

・工女と呼ばれる作業員が忍耐強く細かい作業をこなしていくためのモチベーションを保つために、評価・昇格制度を整備したこと。工女さんたちは皆、最高階級である一等工女を目指して日々頑張ったそうです。

 

日本の近代化の幕開けとなる時代を築いた富岡製糸場、一度訪れてみる価値はあると思います。

「給食に牛乳。」昔から当たり前のこの構図が徐々に変化してきているようです。新潟県のとある市の小中学校では、米に牛乳が合わないとの理由で給食に牛乳を出さないこととなりました。牛乳を卸していた乳業メーカーは大打撃。売上が4ヵ月で2千万円減ったそうです。このような事例もあり、全国では牛乳の消費量が年々下がってきています。この10年で乳業メーカーの20%が廃業に追い込まれたとも言われています。

 

そんな厳しい外部環境の中、見事に革新をしている企業が山口県にありました。その企業は4千億円という巨大なヨーグルト市場に目を付けました。ヨーグルト市場は、ここ10年で市場規模が3割もアップしています。しかし、市場の3分の2を大手3社で占めており、そこに食い込んでいくのは容易ではありません。そこで、健康志向生活者の朝食をターゲットに絞り、流行りのカルビーの「フルーツグラノーラ」とタイアップしました。フルグラの食感を落とさず、なおかつフルグラによく絡むヨーグルトを開発しました。9月からフルグラとのセットで九州地方で発売開始されたようですが、そのうち全国展開されるのではないでしょうか。

 

このように、商品やサービスが成熟している現代において、既存の商品・サービスを組み合わせたり分解したりすることによって革新を起こしていくこともとても良い戦略です。「ピンチをチャンスに」。どんな環境でも必ずチャンスの芽はあるはずです。

 

皆さんは普段路線バスを利用しますか?おそらく路線バスの利用者は年々減り続けているのではないでしょうか。北海道の十勝バスさんも利用客数が40年以上減り続けていたにもかかわらず、コツコツと努力を重ね、イノベーションを起こし、約40年ぶりに利用客数を増加に転じました。

 

業績悪化で給与カット、従業員さんの心も荒れ果てていた当時、追い打ちをかけるような燃料費高騰で大ピンチの状況。そこで後継社長が一念発起。「営業強化」に乗り出しました。

 

中心部から離れた小さな停留所からスタート。停留所の半径200m内の見込客である約300世帯を戸別訪問しヒアリングをしていきました。「どうしてバスに乗っていただけないのでしょうか?」すると、耳を疑うような回答が。「前と後ろ、どちらから乗ればいいか知らないし、バスがどこへ向かっているかも知らない。料金もわからないし、ちょっと怖いんだ・・・」。サービス提供側では当たり前のことが、潜在顧客には当たり前ではない。そこに「不安」という障壁があったのです。そこで、ビジュアル的に分かりやすいパンフレットを作ったり様々な改善をしました。すると今度は「病院に行くのにバスを使いたい」などの要望も出てきました。そこで、目的地別時刻表を作成したりして対応していきました。そして地道に戸別訪問の地区を広げ、声を聞き、改革を重ね、成功軌道に乗っていきました。

 

この会社のように、奇抜なアイディアがなくても、大きな投資をしなくても、イノベーションは起こせます。社内の経営資源を丁寧に見直し、配分や組み合わせを工夫するだけで大きな変化が生まれます。中小企業経営者が皆で知恵を絞り、イノベーションを起こし、日本全体を元気にしていきましょう!