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少しブームは過ぎてしまいましたが、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』。皆様は読まれましたでしょうか?

エッセンスとしては、「資本主義は所得格差を拡大させる。富への課税強化が必要」ということですが、私の感想としては、これは欧米型資本主義への警鐘であって、日本型資本主義には直接あてはまらないのではないかと思います。

 

そもそも、企業は資本・経営・労働の三者で成り立っています。欧米型では資本家が労働を搾取するパターンが多い傾向にありました。つまり、「安く作らせ高く売る」というものです。この構図では三者間バランスが崩れ、行き詰ってしまいます。労働搾取が限界を迎え、金融資本主義に走り、破綻したリーマンショックが象徴していますね。一方、日本型では資本家・経営者・労働者がバランスをとって協働しています。もちろんまだまだ労働側が弱いので課題もありますが、欧米型ほどの労働搾取はありません。また、日本では既に十分な所得税の累進課税や高い税率の相続税があります。

 

さてここで、三要素の一つである「資本」に目を向けると、従来の重厚長大産業時代には土地や設備、お金が重要な資本でありましたが、情報・知識産業が伸びている現代では、人材こそが重要な資本であると思います。「資本」の中身が変わってきています。土地、設備やお金の規模では大企業にかなわなくても、人の能力や知的所有権を集積し、スピード感を持った経営を行うことにより、中小企業にも十分な活路があります。人材を育成し、従業員の能力を引き上げ、活力ある企業目指して頑張っていきましょう!

産業・経済が成熟した現代では、多くの業界で価格競争が激化しています。そのような状況において、自社の商品・サービスの「値決め」が重要な意思決定になっていることは周知の事実ですね。私は常々、価格を下げることなくマーケティング力をつけて売上を伸ばしていきましょう、と訴えておりますが、そうはいっても現実として取引相手から値下げを要求される場面も少なくありません。

 

よく、ビジネスの形態として「B to C」とか「B to B」とか言いますが、特に「B to B」の場面においては、価格交渉も簡単ではありません。値上げをして自社の利益が増えれば、顧客の利益は減り、反対に値下げをすれば顧客の利益が増えますが、自社の利益が減ってしまいます。

 

そんなシーソーゲームのような状況を脱し、ウィン・ウィンの関係にしたいと知恵を絞ったのが北海道のとあるクリーニング店でした。これまで、大手の法人顧客であるホテル運営会社から頻繁に値下げ要求があったようです。そこで、顧客であるホテルの顧客、つまり「顧客の顧客」を増やすという取り組みを実践しました。具体的には、ホテルの閑散期に、自社クリーニング店の会員顧客を法人顧客のホテルに送り込む無料日帰り温泉ツアーを企画したのです。ホテルには大浴場を開放してもらい、無料で送迎もつき、大好評だそうです。その企画後には、ホテルに宿泊に訪れる顧客もあり、ホテルの閑散期の収益改善に役立っているそうです。すると、ホテルからは値下げ要求どころか、値上げの切り出しすらあったといいます。

 

「B to C」でも「B to B」でもなく、地域の企業が連携して地域住民にサービスするという「(B+B)to C」の構造を生み出す。そして利益を奪い合う対立関係が解消し、協働するパートナーになるという理想の転換を図ることも可能なのですね。

最近は各所でキャリア教育などが充実してきていることもあり、若手社会人でも自分のビジネスライフをどのようにステップアップさせていこうかと考えているケースも見られます。

一方で、雇い主側はどうでしょうか?スタッフ一人一人のキャリア形成を、各人と話し合いながら真剣に協議検討し、会社全体の組織作りに反映させているという会社がどれほどあるでしょうか?

 

もちろん、現代社会はライフスタイルや情報、考え方が多様化し、社会人それぞれのキャリアプランも独自の色が強いかもしれません。しかし、そんな環境下でも一定のベースラインを設定しておくことも有益だと思います。

 

例えば、「年代別に身に付けるべきVSOP」という話を聞いたことがあります。

20代から50代までを10年ごとに区切り、「VSOP」の順番で4つの能力を身に付けることが必要だといいます。

 

20代は「行動力(Vitality)」です。何事にも前向きに挑戦し、経理、営業、総務、製造、企画など、様々な部署を経験させて適性を判断します。ここでは広く会社の業務を体験させるのですが、やりっぱなしではなく継続する力を培います。

30代は「専門力(Speciality)」。適性分野で仕事にのめりこみ、特定分野ではトップの知識、実力を持てるようにします。

40代は「独自力(Originality)」です。専門性を極め、独自色もつけていき、発想や企画も独自性を伴って会社に貢献できる力です。

そして最後の50代は「人間力(Personality)」。幹部として後進の育成、組織力向上、社会への貢献、といった活動に軸足を置きます。

 

このように、年代に応じたスタッフの理想像を明確にすることで、各人が目標を具体化できるようになり、若手従業員がいきいきと働くことが出来るのではないでしょうか。

今週、沼津で開催された、【『A4』1枚アンケートで利益を5倍にする方法】と題したセミナーに参加してみました。 講師は販促コンサルタントの岡本先生で、以下の書籍はアマゾンランキング3部門総合1位を獲得されています。

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参加の目的は、関与先様の売上アップのアドバイスをする上で、顧客の声を聞いてニーズを拾い上げる作業が必要になるのですが、 どのようにアンケートを取り、分析し、マーケティング活動に活かしていくかを実践形式で学ぶことでした。

 

日頃関与先様とお話しさせていただいているのは、どちらかというと経営の特にマーケティングを中心とした『戦略』の話が多いのですが、 今回の学びはもっとブレイクダウンした『戦術』面が中心でした。

 

14時から20時と長丁場だったのですが、後半はグループワークで実際のアンケートを基に広告を作成していくというもので、 楽しみながら実践形式で学ぶことができました。

顧客アンケートで何を聞かなくてはいけないのか、そしてそれをどのように分析し、広告やHPに表現していくのかを、 具体的に吸収することができました。

その中で気づいたことは、アンケートの質問項目が、日頃私が実践している『ブレない軸を持って一貫した経営戦略をつくる』ための戦略要素と全く一致しているということでした。 今後、さらに有効なアドバイスができると確信しました♪

 

以下は我々のグループの作品広告です。

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とても有意義なセミナーでした。ありがとうございました!

 

先日勃発した大塚家具のお家騒動。 過去には溺愛していた娘社長を、30年後には人目をはばからず罵倒するという、泥沼。

 

もともと事業承継には多くの困難が伴うものではありますが、家族だからこそ、なおさら感情の折り合いが難しく、第三社が介入する余地も少ないのでしょう。 しかし、中小企業の場合にはファミリーによるオーナー企業がほとんどであるから、 同様の問題が発生することは想定されますし、私も実際多くの事業承継上の困難を見てきました。

 

今回の大塚家具のケースでは、創業社長は一代で上場企業を作り上げたカリスマ経営者であり、経営能力も十分お持ちであるはずであり、かたや娘社長の方も、経歴から見て十分な経営能力があるのではないかと推察されます。

ですから、父の戦略と娘の戦略とどちらをとるのか、又、それぞれのいいところをミックスしていくのか、十分な議論を重ねて会社を導いていけばよいと思いますよね。

 

しかし、そこには家族間だからこその様々な感情の軋轢や、世代間ギャップからくる葛藤など複雑な要素が入り組むため、そのような理性的な解決が図れないこともしばしばです。理屈だけではうまくいかないこともよくわかります。

 

そんな時こそ、『経営理念』なのです! 親子間で衝突するのは、往々にして経営戦略や経営戦術の局面です。

 

ところで、経営者であれば、経営戦略と経営戦術とは明確に区別出来なければいけません。

◇経営戦略とは、経営の方向性やコンセプトを決めることであり、経営資源をどう振り分けるかということです。

◇経営戦術とは、経営資源を、いつ、どこで、だれに、何を、どのように、使うのかという具体的手段のことです。

 

こうした戦略や戦術の意思決定局面において、意見が食い違った場合、感情や世代間ギャップに振り回され、最も大切な『経営理念』を見失ってしまうケースがほとんどです。 「会社をよくしたい」という思いは、先代も後継者も同じはずです。そんな時こそ、経営の共通言語である『経営理念』に照らして議論を進め、発展的解決を図っていくことが大切です。

2月10日に藤村正宏先生のエクスペリエンス・マーケティングのセミナーを受講してきました。

 

情報があふれ、商品・サービスのコモディティ化が激しい現代におけるマーケティングのポイントは2つ。

 

一つは顧客にニーズに気付かせる、買う意味を教えてあげる、ということ。

そのためのキャッチコピーやPOPを積極的に使っていこうというものです。その際の留意点として、顧客にとっての価値を表現するということ。自社が出来ること、提供する製品のスペックや特徴を主張するのではなく、顧客にとって自社の商品がどんな価値があるのか、それを使うことによってどんな体験ができるのかをしっかりと訴えていくこと。人間は自分に関心のないことは目に入らないので、この点は非常に重要だということです。

 

二つ目は顧客との関係性を重視するということ。

ITやソーシャルメディアが発達した現代では、モノやサービスの付加価値や価格だけではなかなか選んでもらえない。そこで重要になってくるのが、顧客との関係性であるということ。ITがどんどん発達していく時代においても、やはり人間同士の関係性がモノを言ってくるのだということです。そして、アナログの人間同士の関係性を構築していきつつ、同時にソーシャルメディアを駆使して情報発信していくことも重要。

とにかく待ちの姿勢では勝てない。「決断より行動!」実践あるのみ!です。

 

その藤村先生の著書はいくつかありますが、この本もお薦めです!!

セミナーがあったら是非受講されることをお勧めします!

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いまや100円均一のお店が台頭している回転寿司。低価格路線でやってきた会社の中に、革新の動きが見られ始めました。

 

私もたまに行くスシローさん。平均客単価は1,000円。最近全く新しいタイプの店舗「ツマミグイ」を展開しています。 (市場:Field)は、おしゃれに、お寿司を少しずつ食べたい市場、ということで、(顧客:Target)の重点をを20代~40代女性において、まずは中目黒から出店しました。目玉商品は小ぶりのロール寿司。野菜にこだわったサラダなども評判が良く、平均客単価も4,000円と、計画通りの滑り出しをしたようです。売上サイドから見ると、既存客というよりは新規顧客開拓に重点を置き、単価のアップを軸に売上を形成しています。スシローでの実績を生かした商品開発力を(強み:Strength)として、今後も業績をさらに伸ばしていくのではないでしょうか。

 

一方、がってん寿司さんが新たに展開を始めた「承知の助」。 こちらは、販売点数のアップと来店頻度アップを狙った戦略です。 お酒を飲みながら寿司とおいしいツマミをプライベート空間で食べたい、という(市場:Field)で、(顧客:Target)を主にビジネスマンやファミリーにおいた戦略です。個室にレーンでお寿司、ツマミ、お酒が運ばれてきます。目利きのバイヤーさんという(独自資源:Asset)をベースに、季節ごとに替わる素材を生かしたメニューを揃えるという(強み:Strength)をもって業績を伸ばしています。 お酒に注力することにより、売上高に占めるお酒の比率が6%から20%に伸び、平均客単価も1,800円から2,200円へと伸びたそうです。

 

これからの回転寿司業界に期待が高まります!

先日、とあるご縁でご紹介いただきました三島にある『ブティックいしかわ』さん。 2013年に先代の後を継がれた現社長さんがとっても温かみのある方で、一度お会いした際にすっかり『ブティックいしかわ』さんのファンになってしまいました。

ということで、この土日にオーダースーツ会という催しがあったので、予約を入れさせていただき、昨日行ってきました!

 

元ビームスのフィッターさんと石川社長さんとお二人で、私に装いに関する様々なアドバイスをしてくださいました。 「中小経営者は自分自身のブランドを確立しなければいけない」、「そのためには外見、特に第一印象が非常に大事である」ということを認識させていただきました。

 

私は普段ほとんど洋服の買い物をしません。 年に4回ほど横浜へ出かけて行き、まとめ買いをします。スーツやジャケットはいつも百貨店で買いますが、あまり満足をしたことはありませんでした。

ところが昨日は、そのお二人で、私がスーツやジャケットを着用するビジネスシーンでの状況や頻度、接するクライアント様が年配者が多いか、若い方が多いか、どのくらい装いに遊び心を入れたいか、立ち座りの頻度がどんな感じか、・・・等々色々なことを聞き出し、それに応じた生地、縫製、形、ボタンからポケットなど細部に至るまで丁寧に作っていってくださいました。

 

その際に、とても感動したことがありました。 ジャケットの着丈について、フィッターさんは72cmがいいんではないか、ということだったのですが、石川社長さんはその長さではやや落ち着き感が下がってしまうので年配のクライアント様に接する際には74cmがいいのでは?!、という議論になりました。 お二人のアドバイザーが私の目の前でそれぞれの意見を真剣に議論し、最高の物を作ろうとしてくれているのです。 しかも2cmという世界で。 セカンドオピニオンまで一気に得た気分でした(^^)

結局、スーツではなくジャケットだったので、スタイリッシュさも考慮して、73cmに落ち着きました。 この二人に任せておけば、いいものを作ってくれる。という安心感は、他店では味わえないものでした。

 

ここからは私の推測ですが・・・。

ビジネスで成果を出すために装いをブラッシュアップしたい、という(市場:Field)において、(顧客:Target)を明確にし、元ビームス出身で3,000着のフィッティング経験を誇るフィッターさんという(独自資源:Asset)の力とともに、強烈なヒアリング力とアドバイス力を(強み:Strength)として差別化するという、まさに一貫した軸を持って経営されているブティックいしかわさん。

感動の多い、かつ、とても楽しい2時間でした。 本当にありがとうございました!!

福岡の建材業者である田川産業さんという会社がテレビで紹介されていました。 1924年創業で、地元の産品である石灰を使った漆喰の老舗メーカーです。

 

漆喰の壁は、湿度を保つ・消臭効果が高い・抗菌効果が高い、という長所を持っています。 伝統があり、機能的にも優れている素材なのです。 しかし一方で、施工には職人さんの高度な技術が必要であったりして、需要が減ってきて経営が苦しい状況だったようです。

 

そこで、経営陣が社運を賭け、約4億円の設備投資をし、新たな経営革新を行ったのです。 当時の年商を超える投資ですから、思い切った意思決定だったと思います。 正方形のプレートに様々なデザインを施した漆喰タイルという建材を開発し、販売していきました。 これが幼児施設や商業施設の潜在ニーズを掘り起こし、見事に成功したのです。

 

形は変えても伝統は残す。 理念を守り、革新していく。長寿企業の鉄則ですね。

最近知った素晴らしい新ビジネス「子育てシェア」。

 

シンプルなサービスなのですが、女性の社会進出と子育てを強烈にサポートする画期的な仕組みではないかと思います。 そのサービスを簡単に言うと、子育て中の母親が、子供の送迎や託児を、一時的に顔見知りのサポーター(子育てシェアの会員)にワンコイン(500円/1時間)で依頼するのです。 今や2万人を超えた会員同士でサポートし合う、いわゆる「子育てをシェアする」のですが、依頼するだけでも良し、依頼を受けるだけでも良し、ワンコインという設定が依頼をし易くしているのです。 依頼するのは近所や同じマンション、幼稚園、習い事などで一緒の顔見知りのママさんだから安心。

 

ワーキングママの最大の懸念は子供が風邪をひいたり病気になった時の対応だそうですが、そんな時でもうまく子育てシェアを使えば乗り切れることも。 これで、会社に迷惑をかけてしまうがために就業をためらっていた子育てママも、安心して仕事に着くことができるようになったといいます。

 

母親が安心して仕事に就くことが出来、企業も積極的に女性人材を活用できるようになり、長期的に日本経済を後押しする、そして地域コミュニティも強くなり、『三方よし』の素晴らしい仕組みだと思いました。 ビジネスとしてみても、顧客ニーズを見事に掘り起し、それにマッチした価値を提供していくまさにお手本と言える事業ではないでしょうか。