第3話 点から面へ、アナログ式の接客
某有名ホテルの話です。通常いわゆる高級ホテルに宿泊するとき、ホテルのロビーで受ける接客は、ドアマン、ベルマン、フロント、ゲストリレーション・・・、と各担当毎にそれぞれ接客を受けます。しかし、このホテルでは当然各担当者が接客をするのですが、それをフォローする形で「ロビーマネージャー」というセクションがあり、接客のフォローをしています。
この「ロビーマネージャー」は、どこへいっても何をしてもいい、とにかく玄関からロビーに入ってきた宿泊客がストレスなく過ごしてもらうために様々なフォローをするのです。ベルマンの荷物運びやフロントのチェックイン、道案内、レストラン予約、誘導、タクシー乗車の補佐、また、フロントが混み合っているときは話し相手になったりと、実に様々な役割をこなします。ロビーマネージャーが一人の顧客と接する時間が長く、従来の顧客と担当の「点」による接客から、ロビーマネージャーによる「面」の接客へとシフトし、着実に効果を上げているのです。
このように、(密着軸)による(強み:Strength)を確固たるものにしているベースである(資産:Assets)は、ITによるシステム化された顧客管理システムではなく、ロビーマネージャーの記憶と経験なのです。ロビーマネージャーは、皆1000人以上の顧客の顔と名前が一致するとのことです。そのため、顧客は名前で呼ばれてもてなしを受けることが出来ます。また、性格や趣味嗜好、勤務先、車のナンバーまで記憶しているようです。顧客がチェックアウトして玄関に向かうと、その客の車がスーッと車寄せに近づき待機するそうです。ここまで来ると顧客も感動ですね!