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日本という国は他に類を見ない凄い国で、100年以上続く長寿企業が約27,000社あると言われています。 会社を永続的に発展させ、社会に対する存在価値を維持していくためには、変わらないもの「理念」と、変えていくもの「革新力」の2つが必必要不可欠であることは常々記事にも書いているとおりです。

 

そうはいうものの、製品や市場が成熟した産業においては、なかなか革新的な行動を起こしていくとこが難しい業種もあります。 そんな経営環境の中で、過去の栄光に浸り、現状にあぐらをかいていたとある食品メーカーがありました。 この会社は仁丹を作っており、80年代には圧倒的な支持を受け飛ぶ鳥も落とす勢いでしたが、近年売上高はピーク時の10分の1。数十億円の赤字を計上していました。

会社が非常な危機にあることは従業員にもわかっていたはずですが、従業員は皆その危機を見て見ぬふり。 危機に気が付かないのではなく、気が付きたくない。そんな社風の中、「また昔のように売り上げが伸びたらいいな」的な根拠のない希望を支えに経営されていました。

 

そこに、新たに外部から社長が招聘され、抜本的改革に着手することになりました。 この社長は商社出身で、海外関連会社の経営も経験のある敏腕社長。 早速改革に着手したのですが、初めのうちは反発が大きく上手くいきません。しかしこれもこの社長の作戦の一つ。 この危機感も改革思考もない企業風土を変えていくには、一度風を起こさないといけないと、敢えて厳しい言葉を使ったり、中途採用を増やして競争心をかき立てたり、積極的に従業員に権限を与えるとともに、外に連れ出して他業界の人材と交流させることにより革新思考を植え付けていったのです。

 

合わせて、社内で開発されたものの実用化されずに眠っていたカプセル技術を使って、新たな食品や医薬品、さらにはレアメタルの吸着回収剤なども開発。 過去の栄光に浸り、仁丹に頼りきりだった企業風土を一気に改革し、従業員の発想力、革新力を引出すことに成功したのです。

 

近年、大企業でもサントリーやカルビー、武田薬品など、外部から経営トップを招聘する動きが増えています。 しがらみや先入観のない、革新的な経営者が経営に手腕を発揮していくことは、企業再建に有効は手段であるとは思いますが、中小企業においても、経営者を変えなくとも再建していくことは十分に可能です。 ただし、過去の流儀から抜け出せない組織からは革新は生まれません。経営者、そして従業員一人一人が意識をもって改革にとりくめば、新たな地平が見えてくるのです。